人は様々な欲望を持っており、自分の出来る限り、その欲望を発散させては幸福感を得る。
だが、それでは自分の人生は幸せか?と、問われると大部分の人間は『幸せではない。』と答える。
幸せではないと答えた人間の大半は『・・・が無い。』『・・・があればいいのに・・。』と不平不満や愚痴や泣き言を洩らす。
それでは本当の幸せとは何なのだろうか?
人を動かすものは欲望だけである
人間はとにかく大なり小なり『欲望』を持っている。
お金持ちになりたいと願うのも『金欲』からきているし、異性と深い関係になりたいというのは『性欲』からきている。
単純に眠い・・・と、感じる情動でさえ、それは『睡眠欲』というものからきているのだ。
金融市場の世界で、例えば相場が上がるか下がるかの根本というのは『強欲』と『恐怖』であるという格言がある。
強欲というのは、身を滅ぼす危険で強すぎる情動であるというのは、過去のコンテンツでも書いたとおりだ。
しかし『恐怖』というのは、少々、欲望とは異なるのではないのか?と問われそうであるが、これも実は立派な欲望の一つなのだ。
金融市場による恐怖というのは、物質に関する欲望であり細分化した中でいえば『保持欲求』にあたるのだ。
要するに自分が損をしてしまうのではないか?と、いう強い欲望が、売りを過剰に促進させるとも言えたりする。
強欲でいえば、もっと買えばもっと時間が経てば儲かるかも知れないという具合だ。
会社などの組織では基本的に仕事が出来る人間というのは、非常に高い欲望を持っている。
それは単純に『お金』目的の『金欲』重視のタイプもいれば、他者から認められたいという『承認欲求』が強いタイプもいる。
兎にも角にも人間の行動というものの根本は『欲望』であるのだ。
だが欲望が幸せを掴めるとは限らない
一人の男性のケースを紐解いてみる。
その男というのはアメリカの銀行の副頭取にまで出世した人物であった。
この男はあるカウンセラーにこんなことを言った。
『俺は地位も金も名誉も全て手にいれた。 しかし、全く満たされないのは何故だ? 教えてくれ!』
と、カウンセラーに本心をぶちまけた。
カウンセラーはじっくりと彼から色々と聞き出してみると、幸せではない原因には子供がいることを突き止めた。
この副頭取には娘がおり、過去に妻と離婚をし、妻の方が娘を引き取った。
副頭取は当時は仕事をガムシャラに頑張っている立場であったので、家庭を顧みない状態であった。
人の三倍、四倍頑張り、自身も昔から聡明で結果を残せて、責任感も強かった為に副頭取までのぼりつめた。
しかし、娘にはもう長年あっていないということであり、娘には実は嫌われていたのだった。
地位も名誉も金も全て手に入れた副頭取であったが、幸せを生活の中でまるで感じられなかったのは、その娘と分かち合えていないからであったのだ。
幸せになる為に捨てるものこそ欲望
副頭取はカウンセラーの助言をきいて、長年あっていない娘と久しぶりに再会をする。
娘は実の父である副頭取を親として認めていない。
しかし、副頭取は自分のこれまでの努力や見栄や威厳などを全部捨てて、娘に自分の正直な気持ちを打ち明けた。
その気持ちが娘に届いたのか、娘は副頭取に自分の子供を抱かせたのだった。
程なく副頭取は銀行を退職して、娘の子供である孫のその後の学費などの面倒を全て引き受けた。
それだけではなく、自分の自費でホームレスの人間が冬に寒さで凍えないようにと、宿舎を建てたのだった。
そして、娘と和解して心の底からの幸福感を手に入れてから、半年後に天に旅立たれたという。
もちろん、副頭取が自分を受け入れてくれないという娘に会って、誤解を解きたいというのも『欲望』と言える。
しかし、その時にはそれまでの自分の武器であった威厳やお金や見栄などは一切、かなぐり捨てて、娘と向き合ったのだ。
そこには何の欲などもなく、純粋に娘に対する愛情を精いっぱい表現したのだった。
その後は自分が若い頃には何よりも手に入れたかった金というものを、全て自分の孫と他人の為に使ったのだ。
そして地位も名誉も捨てて、最後の半年間は娘と孫に囲まれて、本当に幸せを感じる中で生涯を終えたのだった。
つまり欲望というものは、生きる糧であり己を高める起爆剤でもあるのだが、それがあるが故に幸福を感じられなくなるというものであるのだ。
幸せになる為には欲望は満たすべきである
前述した副頭取は幸せの中で生涯を終えることが出来たが、それもこれも本来、現代人の誰もが持ち合わせている様々な『欲望』を全て果たしているからと言える。
もう欲しいものはないというくらいに儲けて、『金欲』を満たしたからこそ、他の欲望に目が向くようになったのだ。
もうこれ以上は望まないというくらいに出世して、地位と名誉を手に入れたからこそ、『優越欲求』や『承認欲求』を満たしたからこそ、他のことが気になりだしたのだ。
つまり本当に自分自身が幸せになる為には、自分の欲望を出来る限り満たしたうえで、最後に本当に自分は何を欲しているのかを考えることによって、最後の人生の答えが見つかるのだ。
筆者も若い時に叶えたかった夢やゴールという欲望を既に叶えている人間だ。
その結果、本当に自分が幸せだと思うというのが、Web上で情報を発信することだったり、他者を教育することだったりするわけだ。
だからこそ筆者も非常に幸せの中で、このコンテンツを書いていたりするのです。
本当の幸せを手に入れる方法
それは自分自身の価値観に根差した『欲望』を全て最初に叶えてしまう。
すると、そこに真の自分が見えてくるし、それ以外でしか本当に自分の幸せなどは手に入らない。
その時こそはじめて自分以外の他人のことを考えられる心になり、自分自身が本当にやりたいことが見つかる。
それをやっていることや許されている状況というのは、幸せ以外の何物でもないのである。
多くの人間はそこまでは辿り着けない。
しかし、今回、記した本当の幸せを手に入れる方法を実践することによって、それまで無駄にしてきたあらゆるリソースの使い方を今一度改善して、自分探しや、自分磨きの助けになってくれると信じてやまない。