一億円拾得事件というのは、憶えておいでだろうか?
1980年トラック運転手・大貫久男が銀座で1億円を拾ったことから、数多くの騒動を巻き起こした伝説の事件だ。
多くの謎が未だに語り継がれるわけだが、大貫久男の死因や孫、そして、一億円の本当の持ち主とは誰だったのだろうか?
大貫久男と一億円のその後
大貫久男という我々と同じ一般社会人が、何故、これほど後世にまで語り継がれる有名人になったのか?
まず、そこから紐解いてみよう。
1980年4月25日。
春もはじまり世間は新しいスタートをきり、桜が咲き乱れる中、東京・銀座の路上で怪しい風呂包みを発見した男がいる。
それが大貫久男であり、当時、42歳の金物会社のトラック運転手をしていた一般社会人だ。
大貫久男が広げた風呂敷包みの中には何と一億円の札束があった。
彼はすぐさま警察に一億円を拾ったことを届け出た。
落とし物を警察に届けた場合は、持ち主が名乗り出なかった場合は届け出をした人間の所有権になるのは、ご存じだろう。
現在は3か月であるが、当時は6ヶ月。
大貫久男が1億円もの大金を銀座という一等地で拾ったことは、多くのマスコミから注目され、連日にわたりワイドショーを賑わせるネタとして一躍、時の人となったのだ。
が、しかし、大貫久男にとっては、非常に辛い1億円までの道を歩まされることになるのだ。
大貫久男と一億円に対する嫌がらせ
大貫久男が1億円を拾ったのは4月。
晴れてそれが自分のお金になるのは半年後の11月である。
が、マスコミが連日に渡り、大貫久男を取り上げた為に、一般視聴者はその所在や会社や身辺情報を特定した。
その結果、大貫久男は嫉妬からなる多くの嫌がらせを受けることになった。
自宅や会社には連日にわたり、電話や手紙などで誹謗中傷を行われ、中には殺害予告の被害にもあった。
マスコミの前で涙をこぼす大貫久男に同情する一般視聴者もおり、激励の言葉を投げかける一面もあったものの、その不安は解消されずにいた。
警備員を周囲に雇ったりするなど、不安を解消する為にできる限りの安全策とっていた大貫久男。
大貫久男を取材するマスコミの一部は、自分たちで取り上げておいて、奇異のパフォーマンスをしていると報道。
今でいえばこれは偏向報道の一種であり、マスコミも大貫久男に批難が集まることで、更に数字を稼ごうとしていた様にも見える。
マスコミの暴力はやはり、昔の方が酷い有様だ。
周囲に多大な迷惑がかかったことから、17年間務めた会社も退職せざるえなくなったのだ。
大貫久男が拾った一億円は誰のものだったのか?
当時の日本経済は現在と違い非常に潤っていた反面、表には出処が知られてはならない裏金の存在が多数あったという。
大貫久男が拾った一億円に対して、落とし主が現れないのも、裏金の処分に困った何者かが銀座の路上に捨てていったということであると思われる。
この一億円の持ち主として、噂されたのは何を隠そう日本の大手物流会社の現在は亡くなられている初代社長・佐川清の1億円だったのではないか?と、言われている。
また政治家・玉置和郎や、兜町の風雲児と異名を誇った昭和を代表する相場師・加藤あきらの名前もあがったほどだ。
しかし、結局、落とし主は現れずに大貫久男は1980年11月11日に無事、1億円を受け取った。
大貫久男のその後と死因について
大貫久男が拾って自分のものとなった1億円のその後も、マスコミなどの情報で明らかになっている。
拾得物の1億円にも所得税がかけられて、大貫久男は3400万円を税務署に支払った。
翌年の1981年には再び別会社でトラック運転手として再就職をしながら、バラエティ番組などにもタレントとして出演したりもした。
1982年には約3700万円のマンションを購入し、後に同様の類似事件である竹やぶ1億円事件の時は評論家の肩書でコメンテーターとしてお茶の間に姿を表していた。
その後はマスコミに取り上げられることも少なくなり、2000年12月2日に他界した。
62歳という若さで亡くなられた為に、その死因が気になる人間もちらほらいたようだ。
お金には多少の余裕が出たものの、トラック運転手を続けていた大貫久男。
トラック運転手に一番、多い死因としては過労死が多いのだそうだ。
死因が公表されていない為に、何とも言えないのだが、心臓疾患や脳疾患で他界したと見るのが妥当の様に思える。
おわりに
大貫久男の明かされている情報をまとめてみたが、1億円騒動のその後は特にトラブルもなく比較的に平穏な生涯を閉じたように感じる。
ちなみに現在、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属している芸人コンビ・タカダ・コーポレーションの女芸人・大貫幹枝は、彼の孫娘である。
もしかしたら大貫久男の一億円事件がテレビ番組などで語られる場合は、彼女がゲスト出演を果たし、孫娘である立場から、いつかは謎を解き明かしてくれることに期待したい。