人間の脳には様々な欲望があるが、筆者はその根源は『一つ』であると感じている。
と、いうのも人間の身体は一つしかないし、時間の制限がある為に、全ての欲望を同時に感じて進むことは不可能であるからだ。
一つの欲望を持って、当初の目的であった基準に達した際、多くの場合は更に膨らむ。
時にそれは自身の『破滅』を呼び込む要因になるのだが、果たして何故、満たされても満たしきれなくなるのか?
飽くなき欲望の背景にあるものは?
例えば目的がお金であったとすると、1億円あればいいと思っていた者は、1億円が見えてきたころには、もう1億円という気持ちになる。
10億円の資産を持ったとしても、大抵はそれ以上を目指すことが多い。
周りからは『もういいんじゃないの?』と止められても、本人の欲望の炎は消えるどころか、油を注いだかのように業火に包まれている状態だ。
ことさら数字で表せるものが欲望の対象である場合は、まるでスコアを稼ぐようなゲーム脳が働く場合が多い。
1よりも10の方が上だから。 10よりも100の方が多いからという具合だ。
そして、お金という問題の場合は、時間と密接な繫がりがある。
こうしたことから、お金対して欲望を燃やし続けると、大抵は破産に追い込まれる状態になってしまうことが多いのだ。
特にギャンブラーはこうした気質があったりする。
厳密に言えば、お金が欲しいのではなく、勝ったという気持ちを堪能したいのだ。
脳内麻薬を常に感じたいという、現代人ならば誰もが持っている欲望の表れなのだ。
欲望が増大するもう一つの理由
前はお金・・・つまり『金欲』が増大する一つの例を紐解いたが、今度は『性欲』をテーマに紐解いていこう。
一人の女性を愛して、四六時中一緒にいれる状態になったとする。
その女性が例え絶世の美女であり、自分とは何もかもウマがあうような理想的な女性であっても、多くの場合は男性は他の女性にも手出ししようとする。
よく巷では『美人は三日で飽きる。 ブスは三日で慣れる』という格言を耳にするが、これは人間・・・特に男性の欲望の根本にあるものをうまく表している。
要するにどんなに素敵な女性であったとしても、『慣れ』が生じてしまえば楽しくなくなってしまうのだ。
どれだけレベルの高い女性であったとしても、やりたいことをやり尽くした後ならば、あとは肉体労働、耐久レースの様相を呈するのだ。
しかし、人間の性欲というものは非常に強力なエネルギーを持っている。
なので、今度は新鮮さというものを加味した上での性欲を求めて、他の女性に走るというわけだ。
賢い男性ならば、それがどれだけのロスを生むのかに気づいているので、理性を働かせてコントロール出来るのだが、多くの場合は性欲に負けてしまう。
食欲が増大するのは副次的作用から
前述した性欲の増大に関する要因は、食欲と似ている。
例えばフカヒレが大好きだったとして、それが毎日食える状態であっても、おそらくは10日連続で食べ続けることは苦行となってしまうことだろう。
米やパンの様にうますぎずまずくない常食というものではない場合は、旨すぎるのが原因となって食べるのに飽きてしまう。
よって、食欲の場合は減退する方が多いのだが、増大する時というのは外部的作用が働く場合だ。
人間は身体を動かすためのエネルギー補給は口から行う。
その源となるのが、食欲である。
身体を鍛えたり、よく食べる人間が好きという友達や恋人などが出来た場合は、その期待に応える為に食欲が増す傾向が強い。
身体を鍛えると、筋肉や臓器系がより多くのエネルギーを欲するようになるわけだから、必然的に食欲は増すようになるのだ。
このように、食欲に関して言えば、外部的要因や副次的要因によって増大するというのが結論となる。
ちなみに筆者がカウンセリングをした食欲に関するテーマを持ち出す人間の殆どは女性であった。
そして、ダイエットがうまくできないということであったが、その時はこの話をしてあげることもある。
欲望が増大する要因が分かれば様々なことに・・・
このように欲望が膨れ上がる理由やメカニズムを知ることが出来ると、色々なことに使える。
例えば性欲のメカニズムを知ることが出来れば、意図的に年齢に関係なく自らの下準備によって少年のように元気になることも可能だ。
食欲も例えばダイエットに成功したいのならば、前述したプロセスであれば、身体を極力使わないことだったり、人間関係を変えるということで食べたい情動を抑制することは出来る。
現代人が最も欲しているのがお金であるが、実際にはお金というものは無いのは困りものであるが、沢山は必要ではない。
前田慶次の言葉に『人は米三合、タタミ一畳で生きれる。』というものがある。
実際には現代人は贅沢な生活に慣れているので、飽くなき欲望が膨らむのであるが、実際には生きていくには然程、必要なものなどはないのだ。
そう考えると、お金を追うことよりも、それを除外視した生き方の方が魅力的であったりもするのだ。
明日食べる分を今日、確保できればOK。
来月の支払いを賄えるだけのお金を今月稼げればいい。
その考え方はお金持ちという属性からは遠ざかるが、人の幸せはお金だけあっても満たされることは無いのは断言できる。
おわりに
今回は欲望が増大する要因を解説してみたが、増大する要因を知れば、何故?の理由が分かる。
理由が分かれば、自分自身で欲望を活殺自在にコントロールすることも出来るようになるはずだ。
長い人生において、欲望の赴くままに生きていくのもいいかも知れないが、場合によっては破滅を辿ることもある。
それよりはこうした論理を知って、欲望をコントロールしてバランスをとった生き方を構築していく方が、長い人生、様々なことを楽しめるようになると思っているのだが・・・。